“ 中学1年から大学に入るまで暮らしていたこの街を、ちいさいにんげんを抱いて歩いて帰る。一歩ごとにおそってくるのは強烈なデジャヴ。部活帰りに食べたアイスとか、ずっと座って話した植え込みとかお気に入りのショートカットとか。聞こえてくる踏切の音につい走りたくなる。あたしは伸びまくった前髪を中2の時に買ったバレッタでとめてすっぴんで歩いているけれど、でももう、13才じゃないのだ。時間は確実に前に進み続け、後戻りは基本、ない。そしてあたしは今、ちっちゃくてあったかい、生き物を抱いているのだ。信じられないことに! ”